「アリエナクナイ科学ノ教科書」~面白いんだけど警察に関する内容がちょっと・・・

本マンガその他

「アリエナクナイ科学ノ教科書」を読みました。

子供が興味持つかなと思って買って,自分も読んだらハマったというやつです。

私はもともとくられ氏のファンなので。

 

 

 

どんなの本?

面白い

面白いです。

不老不死とか人体の限界,死の概念,爆弾,未来兵器などタイトルだけでワクワクしてくるような内容ばかり。

残念な点

ただちょっと残念な点が。

警察(捜査)に関する記述に誤りがいくつか見られます。

検視

例えば検視。

検視は私が最も愛している分野なので特にちょっと残念でした。

そもそもな話

確かに警察官は医師のような専門的教育は受けていません。

しかし逆に医師が異常死体を見て的確に死体現象を見極められるかと言えば疑問です。

なぜなら死体現象について詳しい医師が多くないですし,そもそも医師には現場を見ることができません。

逆に警察官は確かに高卒や三流大卒が多くてバカかもしれないですけど,バカなりに勉強していますし,場数も踏んでおり,現場に関してはスペシャリストです。

 

検視で大切なのは死体現象よりも現場や環境捜査です。

警察では昔から死体3割現場7割とか言うのですが,実際やってみると確かにそのとおりです。

死体現象だけを見ると疑問に思うことはよくあります。

なんでこんな状態になるんだろう?と。

しかし捜査を尽くして考察すると,だいたい腑に落ちます。

腑に落ちないということは何かしらヤバイ可能性のあるやつということになります。

その辺の見極めが検視の面白いところでもあります。

 

そもそも死体だけ見て判断できるのなら,異常死体は警察が処理するのではなく医師が処理して事件性があれば警察に通報すればいいだけですよね。

そうでないということはやはり環境捜査も尽くした上での判断が重要だということで。

 

しかし誤検視が発生しているのも事実ではあり今後の課題ではあります。

東京みたいに監察医制度があればまだいいんでしょうが,地方は解剖医が少ない,検視官も少ない,現場捜査員も少ないとないないづくしですから。

署の検視担当は初動捜査係的なところがやっているため,変死だけやってるわけにもいかず,司法検視が入ると現場の負担はかなり重いです。

細かいところ
ダムに浮いている時点で自殺認定

絶対そんなことしてません。水死系は他の死に方以上に他殺を疑います。

それくらい判断が難しいからです。

 

ですから私は水死が大嫌いでした。

自殺っぽいけどすぐには打ち消せないのが多かったですから・・・

数か月かけていろいろな可能性を潰して,やっぱり自殺でしたとかそんなんばっかり。

水系で自殺するやつは殺してやりたいくらい腹が立っていました。(←もう死んでますけどね)

解剖時には裸

司法解剖は開始時にもう裸です。

外表検査はその前段階の警察検視でやります。

じゃないと服も脱がせられないので何もわからん。

首つり(定型縊死と非定型縊死)

非定型縊死は他殺の可能性があるっていうのは教科書にも書いてあることなんですけど,この辺がザ・教科書です。

定型縊死って実際はほとんどないですからね。

考えてもみてください,定型縊死で死のうと思えば,全体重がかかるようにブランコ状態にならないといけないのです。

しかも左右均等に索条物が上がってないといけない。

自殺しようと切羽詰まっている人はなかなかそこまで丁寧にやらないです。

だって非定型でも十分死ぬし。

定型縊死っぽいやつも,左右のバランスがおかしいなど何かしら条件がそろわなくて非定型縊死であることがほとんど。

ですから定型か非定型かはあまり気にしていませんでした。

たまに定型に当たると,「おお,定型や。珍しー。死体現象よく見ときんさい。」という感じでした。

生き返らせて聞く

これいいですよねー。

私も何度「一言でいいから真実を語ってくれ。事件性ありでもなしでもいいからはっきりしてくれ。」と思ったことか。

あと前述しましたが,水系自殺で死んだ人にはぜひ生き返ってもらって説教がしたいです。

「お前は死ぬときくらい人の迷惑を考えないのか,お前のために何人の警察官が,税金が・・・」と。

科学捜査

ピックアップされた時点でアウト,その先はゴリ押し

怪しい容疑者が出てきてもそこからの証拠集めが大変なんですよ。

意外と現場に証拠なんて残ってないんですから。

え,そりゃお前がポンコツだったからだって?

いやー,誰がやっても同じですよ。

私も一応マジメにやってましたから自信はあります。

指紋

鑑識は私が検視の次に愛している分野であるので,また残念です。

いろいろと突っ込みどころがあるのですが・・・

指紋についてはここだけ。指紋というのは意外と出ません。

一般人の多くも勘違いしているのですが,触ったからといって必ず指紋が出るわけではありません。

出ることもあれば出ないこともあるという程度のシロモノです。

出そうなときに出ない,出そうにないときに出るのが不思議なところで。

その差異はもちろん企業秘密ですが。

ですから人体からの指紋・・・レーザー・・・技術がすごいのはわかるけどー,うーんどうなんでしょうって感じです。

状況証明

いわゆるプロファイリング。

これらのことは専門家はやってません。

現場警察官が日々苦労しながらやってます。

嘘(ポリグラフ)

確かに証拠価値的には難しいところはあります。

しかし捜査には非常に役立っています。

私はポリグラフについてはそれほど詳しくなく,詳しく書いてもいいのかどうか判断がつかないので書きませんが,現在のポリグラフは本書に書いてあるようなものではありません。

本書に書いてあるのは一般人がイメージしがちなウソ発見器像で,実際のものは大きく異なります。

まとめ

面白い本ではあります。

ただ,私の知っている捜査分野についての記述がここまで誤っていると,他のところはどうなんだろう?と不安になります。

 

私はくられ氏のファンなので今後とも頑張ってほしいです。

あと願わくばもう少し警察にも愛を注いでほしいのです。

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