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「落語で辿る江戸・東京三十六席」は落語由来の江戸ガイドブック

感想

私がこの本を買った理由はただ一つ。

黄金餅のゆかりの地を知りたかったからです。

黄金餅のあらすじ

貧乏長屋に住む乞食坊主の西念は長年かけて小銭をためてきましたが病気になってしまいました。

隣に住む金兵衛が見舞いに行ったところ西念はあんころ餅を欲しがります。

金兵衛があんころ餅を買ってきてやると,西念は金兵衛が帰った後であんころ餅に金を包んで次々と飲み込み,息絶えてしまいます。

壁の穴から様子をうかがっていた金兵衛はなんとかしてこの金を手に入れてやろうと考え,西念を火葬にした後で金を掘り出そうと考えます。

それで,自分が葬儀を取り仕切り,下谷山崎町から自分の菩提寺である麻布の木蓮寺まで西念の死骸を運ぶことに。

そこで弔いを上げた後,焼き場で思惑どおり金をせしめた金兵衛はそれを元手に餅屋を開き,その餅屋は黄金餅として流行った。

この落語の聞きどころ

有名なのは金兵衛たちが下谷山崎町から麻布まで西念の死骸を運ぶくだり。

下谷山崎町を出て上野山下,三枚橋を渡って上野広小路,御成街道から五軒町,堀様鳥居様の屋敷前を通り筋違御門から大通り,神田須田町,新石町,鍛冶町,今川橋,本銀町,北町,本町,室町,日本橋,通り四丁を抜けて中橋,南伝馬町,京橋,尾張町,新橋を右に土橋,新し橋の通りから愛宕下,天徳寺をくぐって神谷町,飯倉六丁目,坂を上がって飯倉片町,おかめという団子屋の前を通って永坂を下って麻布十番,大黒坂を上がって一本松坂から麻布絶口釜無村,木蓮寺に着いたらもうすっかり夜中になっていてみんなたいそうくたびれた

を一気に語ります。

私はこれが現在のどこなのかなあとずっと気になっていました。

長年の疑問が解けた

たまたま本屋で立ち読みをしていたところ,本書をみつけました。

長年の疑問であった下谷から麻布までのルートが書いてあるではありませんか。

これは買うしかないでしょう。

さっそく本書を片手にグーグルマップでルートを確認。

落語でもたいそうくたびれたとあるけど,なるほど確かに徒歩だと3時間はゆうにかかる距離だったんだなあと。

今度東京に行った時は絶対歩いてみようと心に誓いました。

その他にも

黄金餅以外にも,いろいろな噺にゆかりの地が出てきており興味深いです。

柳田格之進の湯島の切り通しのくだりとか,浅草から新吉原までの道のりとか。

これらもおいおい実際の地を訪ねてみたいです。

 

後日歩きました。

まとめ

史跡や古地図を訪ねるためのガイドブックって最近多いですが,落語についてはそれほどない,もしくは良書がないと感じます。

その中でこの本は江戸と現在をシンクロさせながら読むことができて本当にいいですね。

本書では36席しか取り上げていませんが,落語はたくさんあるので,今後もこういう良書がたくさん出てきて欲しいです。

 

収録されている噺

  • 明烏
  • 長屋の花見
  • 湯屋番
  • 悋気の火の玉
  • 三方一両損
  • たがや
  • 居残り佐平次
  • 目黒のさんま
  • 小言幸兵衛
  • 宿屋の富
  • 芝浜
  • 御慶
  • 崇徳院
  • 大山詣り
  • らくだ
  • 子別れ
  • 堀の内
  • おせつ徳三郎
  • 文違い
  • 王子の狐
  • 品川心中
  • 素人鰻
  • 付き馬
  • 唐茄子屋政談
  • 百川
  • 甲府い
  • ちきり伊勢屋
  • 今戸の狐
  • 文七元結
  • 佃祭
  • 井戸の茶碗
  • 鰍沢
  • 黄金餅
  • 蔵前駕籠
  • 柳田格之進

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