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「ペリリュー 楽園のゲルニカ」~太平洋戦争有数の激戦地でなにがあったのか??

武田一義氏の「ペリリュー -楽園のゲルニカ-」を読みました。

ペリリューって知っていますか?

フィリピンの東方にある小さな島で太平洋戦争の激戦地です。

当時島を守っていた約1万人の日本軍が玉砕し,生還したのは捕虜を含めて約230人というとんでもない戦場でした。

持久戦による執拗なゲリラ戦はアメリカ軍をも苦しめ,戦死者約2300人,戦傷者も約8400人と大損害を出しています。

当初攻撃を担当した第1海兵師団は壊滅的打撃を受けたため,撤退しています。

ここの戦いがより悲劇的なのは途中からこの島の戦略的価値がほぼなくなってしまったことにあります。

当初はフィリピン攻略の中継基地となるはずでしたが,ペリリュー攻略にあまりにも時間がかかることから他の島が基地として利用され,ペリリューを攻略する意味が薄れてしまいます。

しかし組織として一度始まった行動がなかなかやめられないのは日本もアメリカも同じのようで,その後もペリリュー攻略は継続されます。

この漫画はそのペリリュー守備隊を扱ったものです。

武田一義氏の作風はほのぼのとした絵柄で,こんなひどい舞台に合うの?って感じではあります。

主人公ものんびりした人物ですし。

↑こんな感じ。

しかし,実際読み進めるとそのギャップのせいか逆に凄惨さが際立ちます。

何が起こったかわからないまま体をバラバラに吹き飛ばされて死ぬ兵士,負傷して体が腐っていき苦しみながら死ぬ兵士,部下を叱咤激励するも最後は獣のような咆哮を上げて自決する指揮官,これでもかというくらい悲惨な戦場を描かれています。

↑本当にそうだと思います。

死に美しいなんて存在しません。

特に戦場においては。

美しく描かれがちな将校の戦死をここまで醜く現実的に描ききったのは,ただすごい!の一言です。

一方で,のんびりした主人公や味方をだますなど卑劣な手を使いつつものらりくらりと戦場を渡り歩く小杉伍長など個性的な人物がいい清涼剤?になっています。

個人的にも小杉伍長が好きですね。

また,この戦場がドラマチックなのは生存した兵士のうち34人は,終戦後も2年近くゲリラ戦を継続していたこと。

漫画もこのあたりにからめていくのだろうとは思います。

現在5巻まで刊行されており,作中では組織的にはすでに玉砕して生存者もどんどん減っている状況です。

これからどんな展開になっていくか楽しみです。

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