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フツーの人々がヒーローになる瞬間を淡々と描いていく~「15時17分,パリ行き」

「15時17分,パリ行き」を見てきました。

タリス銃乱射事件・・・知ってました?

この映画は2015年に実際に発生した「タリス銃乱射事件」という出来事を基に作られた作品です。

タリス銃乱射事件 - Wikipedia

私はこの事件のことは知りませんでした。
みなさん知ってましたか?

主人公は本当の当事者

そして,驚いたことに,主人公3人と列車の乗客は当時の人物を映画に起用しているそうです。
そのせいか,この映画は全体的に「淡々と」という表現が合っています。
映画やドラマにありがちな大げさな表現は少なく,事件の描写も大げさでなく淡々と流れていきます。

ですからアクションとかそういうのには期待しない方がいいです。
芝居的な描写は少なく,事件の前後も淡々と,悪い言い方をすればあっさり終わってしまいます。

長い生い立ち

この映画は「フツーの人がヒーローになる瞬間」を描いたものです。

主人公3人のスペンサー,アレク,アンソニーはごくごく普通の人物です。
3人は幼なじみでたまたまヨーロッパを旅行していました。
3人がたまたま乗っていた列車の中で,突然この事件が起こります。

実は事件の描写は,94分中15分くらいしかありません。
それまでの時間はそれまでの旅行の流れと,彼らの生い立ちがやはり淡々と描かれていきます。
でもこの長い事件前の描写があるからこそ,どこにでもいる普通の人だったんだなあということがわかります。

しかし同時に,見た感じは普通だけどヒーローになり得る素地があったんだなということも分かります。

彼らは子どものとき,問題児でした。
自分で周りの人に必要とされていないことに気付いています。

そのせいもあるのかスペンサー,アレクは人のためになりたいと軍を志願します。
特にスペンサーは空軍のパラレスキュー(搭乗員救出を行う衛生兵の特殊部隊)を目指しますが,身体条件に合わずかないません。
しかし,腐ることなく軍で負傷した人を救う技術や柔術を真剣に学んでいきます。

アレクも退屈だとは言いながらもアフガニスタンで軍務につき,緊張した毎日を送っています。

正義感と思い切り

3人の中でも,スペンサーの正義感はあふれんばかりです。
周りにいたら少々面倒くさそうと思うくらい。

でも,この正義感と,日ごろからの救命技術や格闘技を修行していたからこそ,あの瞬間に一瞬で体が動いたのではないでしょうか。
真に普通の人は,日ごろ準備なんかしていませんから,もしもこういう場面にぶち当たったとしても恐怖で体が動かないでしょう。
どうにかしないといけないとは思っても,自分の命のことなどで一瞬の躊躇があるのではないでしょうか。

しかし,彼は躊躇なく一瞬で飛びかかっていきました。
そして,アレクとアンソニーもすぐに事態を理解して,それぞれ自分ができることをしました。

スペンサーが迷いなく犯人へ飛び込んでいったのは無謀だったかもしれません。現に犯人は引き金を引いていますから。
でも,最後の最後はこういう思い切りが必要なのでしょう。
その思い切りができるかどうかは,日ごろからの自分にどれだけの覚悟があるかではないでしょうか。

もちろん思いだけではうまくいきません。
それこそ勇み足というやつになるのがオチでしょう。
スペンサーは,いざというときに自分が後悔しないよう日ごろの準備を怠っていませんでした。
それが本当に普通の人とヒーローになった彼らとを分ける一番の違いなのではないでしょうか。

こういう人たちがいるから世の中は動く

彼らのような,なすべきことを淡々とやってくれる人は世の中にたくさん隠れています。
しかしその多くは,このようなドラマチックな事件に遭遇することもなく,ヒーローになることもなく,フツーの人として一生を過ごしていきます。
そういう人たちに支えられて世の中は動いているのだなあと改めて感じました。

私ももしものときには,少しでも自分になすべきことがなせるように,日ごろから頭と体を鍛えておかなくてはならないと思いました。

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