福岡市博物館というところへ行ってきました。
なぜ行ったのかというと金印が見たかったからです。
金印といえば歴史の教科書などで誰でも見たことのある「漢倭奴国王」のやつです。
去年京都で開催された国宝展でも出展されていたようですが,黒山の人だかりでとても見られるものではなく,一瞥するのがやっとというありさまだったそうです。
しかし,本来の保管場所である福岡市博物館ではいつでも展示してあるということを知った私は,ぜひこの目で見てみたいと思って今回福岡まで行ったわけです。
博物館の常設展を入ってすぐの場所に,金印だけのコーナーが作ってあります。
実物を実際見てみると,小さいです。
一辺たったの2.3センチですから。
逆にこんなに小さいからこそ,遺跡でもないようなところから農作業中にたまたま見つかったということや,それが文化財として現在まで残っていることが奇跡に思えます。
いくら純金とはいえこんな小さなもの見過ごしてしまう可能性も高いわけですし,見つけても文化財としてのルートには乗らず,マニア間で売り飛ばされたり個人で保管されていたりしてそうな代物です。
そんなものがこうしてきちんと日本人の共有財産になっていることがなによりも有り難いことだと感じます。
私はこの金印を見て,吸い寄せられるように展示ケースに近づき,食い入るように,それこそ展示ケースすれすれまで顔を近づけて見入ってしまいました。
上から,横から,下から。(下からも見れます。)
それくらい惹かれるものがありました。
また同コーナーには,3D画像処理された金印を画面上でグルグル回して細部まで,それこそ傷1本1本まで見ることができます。
また,これらの印が実務上どのような使われ方をしていたかについても解説があり,面白い。
私は書類に押すものだと思っていたのですが違いました。
当時,重要な書類は,それらを収めた箱をヒモでしばって,その結び目に粘土をかぶせます。
その粘土に金印を押すことで封印とするのです。
これでもかっ!っていうくらい金印について堪能することができます。
訪れたのが平日だったこともあって館内はかなり空いており,金印も余裕で独占できます。
何度も展示ブースへ戻っては360度からなめるように金印を愛でることができました。
ああ,なんという幸せな時間なのだろうか。
このほかにも訪問時は鈴木春信展をやっていました。
鈴木春信も好きなので二重の意味で最高でした。
常設展についても,金印以外も面白いものはたくさんあったはずなのですが,金印の印象があまりにも強すぎてよく覚えてないです。
そのように金印だけでもおなかいっぱいになる施設なのであります。
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