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「心と体と」~一見したところおっさんと若い女の平凡なお話なのだけど…

おっさんと若い女のラブストーリーです。
そう言ってしまえば身も蓋もなく,私も見た直後は「ふーん」くらいにしか思いませんでした。

ジワジワとよい映画

しかしなぜか心に残る映画で,時間が経つにつれてジワジワときます。
若い女(マーリア)役のアレクサンドラ・ボルベーイさんがいいですね。

この役柄は,友人らしい友人がまったくいない極度のコミュ障女で,あまりのコミュ障ぶりに仕事も満足に進められないほどです。
表情も常に固まったまま。

しかし,ひょんなことからおっさんのことが好きになり,急速に変わっていきます。
氷がお日様の光で溶けていくように早いです。

ただその急激な変化に体がついていけてない節があり,さまざまな葛藤があります。
その辺をとらえてこの題名なのかなと感じました。

そしてこの氷が溶けていくように変化していく様子をこの女優さんや監督は上手く表現しているなと思いました。
その表現力が,観てすぐに感動するとかじゃなくて,時間をかけてジワジワと来るのがまたいいです。

相方のおっさんが・・・

でも一方でおっさんの方にはあまり見るべき点がありません。
マーリアのことが好きだと言いつつ,前の女とやっていたり。
極めて世俗的なおっさんであります。
それがあるので,マーリアの健気さがよけいに引き立つという面があるのかもしれませんが。

映画はマーリアの氷が溶けきったのかなあ,と思わせるところで終わるのですが,おっさんの様子などを鑑みると,その後は幸せにはなれそうにないよなあとも感じました。

しかし現実世界は理想どおりにいくわけもなくそういった齟齬だらけなのですから,これはこれでいい終わり方なのかもしれないとも思いました。

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