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「顔たち、ところどころ」~奇妙な芸術家たちの珍道中記

おばあさんの映画監督と若手の芸術家がフランス国内を旅するお話です。

若手芸術家はJRという写真家です。
写真家といっても普通の写真ではなく,大きく引き延ばしたポートレートなどを建物の壁などに貼り付けるという表現手法で活躍している人です。

ばあさんはアニエス・ヴァルダという人で,私はどちらも知りませんでした。

凸凹だけどなんか合ってる

旅をしながらばあさんがカメラ回して,JRが町の人を撮って壁に貼ってという感じ。

50歳以上年が離れていますし,2人とも芸術家なので何考えているのかよく分からないところがありますが,不思議と波長が合っているようでその辺が珍道中ぶりを発揮しています。

ばあさんは作中でも衰えていくのが分かるのですが,若いJRはそんなばあさんに対しても敬意を持って真摯に接しており,そういう様が地味に心打たれます。

この映画は二人の旅の様子を淡々と撮影しており,起伏も乏しく,見る人によってはなんだこりゃ的な映画で,一般受けは難しいと思います。

フランス限定の話や昔の話も多く,理解するのが難しいという面もありますし。
ゴダールとかヌーヴェルバーグ時代の人間関係が出てくると,私はそういう知識がないのでさっぱり分かりませんでした。

しかし一見凸凹な2人がお互いを尊敬し合って理解を深めていく様子は全編を通じてじんわりと伝わってきて,意外にいいもんでした。

芸術の目的

作中である町の人から「何でこんなことしてんの?」って言われたばあさんのセリフもよかったです。
ばあさん曰く「想像力を生み出し,それを共有する。そして新たな物語がまた生まれる。」

なるほど,芸術ってそういうものかと大いに感心しました。

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