「サマーウォーズ」「バケモノの子」 などで有名な細田守監督。
そんな監督が作った最新作「未来のミライ」,期待せずにはいられません。
うーん・・・
・・・が,私は複雑な気持ちでいます。
この映画はなんなのだろう,すぐには感想が出せそうもない・・・・・・とかれこれ1か月以上考えました。
で,いろいろと考えたのですがこの映画は特定の世代にはクリーンヒットすると思います。
この映画を一言で言ってしまうと,「脈々とつながるDNAは大切よ」って話かと存じます。
そしてそれがクリーンヒットする世代というのは,主人公の男の子と同世代の子供(幼稚園児)をもつ両親の世代,または同世代の孫を持つ祖父母の世代。
初めて子供を持って,その子供がどんどん成長して,自我を持ち始めて,自分のDNAを受け継ぐのはこの子だ!って実感してるときにこの映画を見ると,その高ぶる心をこの映画がフルスイングしてくれるのではないかと思います。
共感しづらい
でもそれらの世代を外れると違ってくるように思えます。
私もそうで「脈々とつながるDNAは大切よ」っていうのは分かるんですが,心をズバンと突き刺さしてくれるような強烈なものではないです。
「あー,わかるわかる。そうだよねー,僕たちはDNAの連続だよねー」程度で終わってしまう。
でもなぜそのように映画に入り込めないのでしょうか。
そこが一番分からない謎なところでした。
環境がハイレベルすぎ
改めてシンプルに考えてみた結果,映画中の環境がハイレベルすぎて共感できないのではないかという結論に至りました。
主人公の両親は,横浜に住んでいて,父親は建築士で会社から独立して主夫業をこなしながら順風満帆,母親は編集者で短い産休から仕事に戻るキャリアウーマン。
子供は二人とも健常で祖父母も健在。
これってかなり完成度高い家庭ですよね。
地方在住で日々の生活にアップアップしてる人間からすると,この家族に対しては共感というよりも嫉妬が生まれます。
となると,私がクリーンヒットすると思っていた世代にも意外と受けていないのでは?という疑問も生じてきます。
実際この映画の評価はググってみた限り微妙です。
印象的なシーンで映画に取り込まれそうにはなるのだけど,合間合間でハイソ(死語)な感じが顔を出してきて今ひとつ没頭できない。
そうしてゆがんだしまった目で見始めると,主人公のくんちゃんも,「お金持ちの坊ちゃん」という身も蓋もない言葉で表現するしかないのであります。
そうなってしまうとこの映画で彼をカバーする要素は・・・・薄い。
ないことはないけど,薄いです・・・幼児だけに逆にフォローできる要素がなくてつらい。
標準的な日本の家庭ではない
なんなんでしょう,細田監督からしたらこういう家族が標準的な家族なのでしょうか。
日本全体の標準家族が作中の家族であれば,もっと共感は得られたんであろうと思います。
監督も多分そういう狙いで作ったんだろうなと感じます。
でもちょっと偏りすぎではないかと。
この両親の設定を自然に受け入れられる人たちが,本当にこの映画のツボにはまるのではないかと思います。
でも,現実は違いますからねー。
特に地方に行くとこんな家族いねーよってくらいどんどんレベルが下がってくるし。
そう考えると都市部と地方の格差というのはここまで広がっているのか,こんな映画でまで見せつけられるのかと非常に暗澹とさせられるんですよねー。
ホント身も蓋もない話が結論となってしまいました。
次作へ期待。
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