「考えるヒント」~良書はいつ読んでも新鮮

文芸・評論

小林秀雄氏の本は初めて読んだんですが,60年前の作品なのにすごく新鮮に感じました。

今でも通用するどころか,今の人たちの多くが気付いていないことを,今から約60年前にすでに鋭く指摘してます。

 

圧倒された文章の一部を紹介すると

「人工頭脳」と聞くと,うっかりしていれば,私達の常識は,直ぐ揺ぐのである。

これなんか,人工頭脳をAIと言い換えたら今の私たちそのものですよね。

 

また,国家を巨獣と例えて

巨獣の欲望に添う意見は善と呼ばれ,添わぬ意見は悪と呼ばれるが,巨獣の欲望そのものの動きは,ソクラテスに言わせれば正不正とは関係ない「必然」の動きに過ぎず,人間はそんなものに負けてもよいし,勝った人間もありはしない。

とか,合理的考えについて

考えるとは,合理的に考える事だ。どうしてそんな馬鹿気た事が言いたいかというと,現代の合理主義的風潮に乗じて,物を考える人々の考え方を観察していると,どうやら,能率的に考える事が,合理的に考える事だと思い違いをしているように思われるからだ。当人は考えている積りだが,実は考える手間を省いている。そんな光景が到る処に見える。物を考えるとは,物を掴んだら離さぬという事だ。画家が,モデルを掴んだら得心の行くまで離さぬというのと同じ事だ。だから,考えれば考えるほどわからなくなるというのも,物を合理的に極めようとする人には,極めて正常な事である。だが,これは,能率的に考えている人には異常な事だろう。

とか,しびれます。

論理的でかつ刃物のように鋭い言葉というのはこういうことをいうのかと。

 

難しそうなイメージがありますけど,文章は読みやすいです。

一度はぜひ。

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