「ブラックボランティア」~東京オリンピックは中止した方がいいくらい闇が深い

ブラック日本
卵,倒れない工夫

この本は,東京オリンピックの問題点,特にボランティアについて書かれた本です。読めば読むほどゾッとする本です。

私は祭りごとが基本的に嫌いでオリンピックもそうです。やりたい人,見たい人が勝手にやればいいと思っていたので,今まで特に関心はありませんでした。

しかし,最近「オリンピックの酷暑,打ち水で」などと,一見虚構ニュースかなと思うような訳の分からないニュースが流れてくるのを見て,「え?東京オリンピックって真夏にやるの?秋じゃないの?」と初めて関心を持ちました。

これ,冗談じゃなくてホントに真夏にやるんですね。なんでこんなことになったのだろう,自分が分からないだけでそれなりの理由があるのかもしれないと思っていろいろ調べていて,この「ブラックボランティア」を読みました。

真夏に開催する理由がわからない

結局のところ,それなりの理由なんてものはないということが分かりました。

真夏に開催するのは単にスポンサーの意向なのですね。主にアメリカのテレビ局が夏休みであるこの時期でないと都合が悪いそうで。そんだけ。

ニュースでは「生命に関わる暑さなので厳重な警戒が必要」と毎日のように報じられていますが,そんな気候の中でなんでわざわざスポーツ大会をあえてやるのでしょうか。マラソンとか狂気の沙汰になりますよね。ただ,本書によると候補地選びの段階で真夏開催が前提だったのだとか。そうだったらそもそも日本は不適で,名乗りを上げるべきではありませんよね。何を考えたらこんなことになるのでしょう。

現在の日本の気候を考えると,真夏にスポーツをしようとかいう考え方はどう考えても合理的ではありません。というか狂ってます。人が死んだら運営責任者とかは業務上過失致死でいけるんじゃないかなあと思います。

でも人が死んで遺族から訴えられないと変わらないのが日本の悪いところで,相変わらず高校野球や高校総体なども真夏に開催されています。こういう小学生でも分かりそうなことがあまり報道されていません。それはメディアがこぞって東京オリンピックのスポンサーになっているからだそうです。同じく酷暑の中でわざわざ開催している高校野球がさして批判されないのと同じ構造ですね。よく真面目な顔して「中立な報道」とかいえるなあと相変わらず感心してしまいます。

タダで人を使おうという根性が分からない

真夏開催もひどい話ですが,それと同じくらいひどいのがボランティアの問題。この件で本書で初めて知りました。

東京オリンピックは,なぜか運営の多くを無償のボランティアに頼るのだそうです。なんで民間のスポーツ大会なのに運営スタッフを雇わず無償ボランティアに頼るのでしょう。

本書で解説されているのは,ボランティアは無償であるという一般の誤解に乗じて,「感動」や「おもてなし」といった言葉で上手いこと丸め込んでタダで使おうという虫のいい考えに基づいているということです。

しかし私はそれよりも酷暑で死んだときの責任逃れが主なのではないかと思うのですがどうでしょうか。ボランティアなら労基法も関係ないですし,自分が勝手にやったですまそうとしているのではないかと。

さらにひどいのは通訳など高度な技術を持つ人までタダで使おうとしていること。労働に対する侮辱とすらいえます。

その一方で組織委やその代理店である電通の人はもちろん給料をもらっています。涼しいところにいる人はきちんと給料がもらえて,炎天下で働く人はタダってなんかもうギャグなのかなとさえ思ってしまいます。

本書にはまだまだこの組織委や電通のおかしなところが列挙されています。続きは本書でぜひ。

インパール

本書では東京オリンピックについて「インパール作戦のようである」とすら書かれています。確かに合理的な説明のつかない訳の分からない方針ばかりが打ち出されていて,戦略らしいものが何も見えない点では一緒です。後出しで費用はどんどん増えていきますし。今でももう当初試算の10倍・・・確信犯としか思えないです。

そして必要な人員をタダ働きで,酷暑は打ち水とかスプリンクラーとか精神力とか枝葉末節のことでなんとかしようとしています。戦略の欠落を戦術で補うのならまだしも,戦術すらもなくて精神力とか訳の分からないものでなんとかしようとしているところもインパール作戦のようであります。

まとめ

2000年も間もなく20年を迎えようとしているこのご時世に,本気でこのようなことをやってのけようと考えている組織があることに,心底ゾッとします。人が死んでも,税金を湯水のように使っても,おそらく責任はあいまいになって誰も取らないのでしょう。本当に酷暑の中で,タダ働きに頼って東京オリンピックを開催するのでしょうか。

無理ですって撤退した方がいいんじゃないでしょうか。これは肥大化したオリンピックのあり方を考えなおすいい機会になるのではないでしょうか。

私が一番怖いと思うのは,何人か犠牲者を出しつつもなんとか大会が終わってしまうことです。非常に悪い前例になることは間違いありません。あの酷暑を乗り切ったのだから・・・という調子でもっと無理を強いられること請け合いです。

そう考えると中止になった方がマシだと思います。そう思ってとりあえずこの感想文を書きました。

コメント

  1. Nifty より:

    ホント何なんでしょうね、虚しい五輪報道を見させられる度に 「日本は全然民主主義なんかじゃないな」と思います。
    多数の国民が反対しているのに、全く聞く気のない独裁政府、それにべったりのメディア。
    利権者を監視するはずの司法も 利権に取り込まれている、もうあちこちで言われていて 今更の表現ですか、まるで戦前の日本じゃありませんか。

    こいつらが牛耳る茶番劇に、乗せられる民衆がいない事を 切に願っています…。

    • 山根 厚介 より:

      なんだか少数派は多様化が進んでいく一方で,多数派はどんどん画一化していっているように感じます。