「中東から世界が崩れる」を読んだ~スッキリ見えてくる中東情勢

本マンガその他

高橋和夫氏を知っていますか?

中東研究の専門家です。

 

私は以前放送大学の授業を受講していた時,たまたま氏の授業を受けたことがあります。

その授業が無茶苦茶面白かったのです。

それまで中東のことといえば新聞の記事程度のことしか知らなかったのですが,記事だけじゃ深い事情なんて分からないですよね。

例えばシーア派とスンニ派の事情とか。

あとイスラエル国内のアシュケナジムとセファルディムの事情とか。

そういったことを当時の時事とからめながらとてもわかりやすく説明してくれる授業だったのです。

 

しかし,その後は特に著書を読むこともなく10年余・・・

たまたま面白い本がないかなあとKindleのセール本をあさっていたら見つけました。

それがこの「中東から世界が崩れる イランの復活,サウジアラビアの変貌」です。

 

しかも読み始めは高橋氏の著書だと気付かなかったのですが,読み進めるうちになんだか既視感が出てきて著者欄を見てやっと思い出したというわけです。

 

本書は2016年時点の中東情勢について,中東情勢を全く知らない人でも分かるように書いてあります。

我々は中東というと宗派間の争いが激しいと連想してしまいがちですが,それは表層的なことで実際は他の地域と同じく利権の争いです。

それに加えて中東には本来私たちの想像する「国」と人工的に作られた「国もどき」があることや欧米諸国の節操のない支援がその混乱に拍車をかけています。

 

分かりやすい例がイランで,中東諸国内でイランというのは割と民主的です。

選挙やってますからね。

でもアメリカから「悪の枢軸」扱いを受けていましたし,現在も抜き差しならない状態が続いています。

逆にサウジアラビアは王制で人権は抑圧されており,ぜんぜん民主的ではありませんがアメリカと仲がよいです。

この辺からしてもアメリカのいう正義がいかに玉虫色的なもので節操がないかがわかります。

 

これはアメリカに限った話ではなく20世紀初頭にまで遡れば英仏が勝手に国境線を引いたがためにいくつもの不自然な「国もどき」ができました。

例えばイラクも国もどきですがクルド人とスンニ派アラブ人,シーア派アラブ人が不自然に集まっています。

サダム・フセインはそれらを力づくでまとめてそれなりに安定はしていたのですが,アメリカに難癖をつけられてつぶされました。

 

つぶされて職を失ったエリート層がISへ流れていきます。

そしてシリア。

アサド政権と反政府とISが三つ巴になった上,アメリカ,ロシア,トルコといった国がそれぞれの思惑により複雑怪奇な支援を行っていることで,内戦に終わりが見えません。

 

このように中東は周りの国にしっちゃかめっちゃかにかき回されてきたといえます。

逆にそれらの背景を知らなければ,現状も表層的なことしか分かりません。

中東は世界の一大産油地であり,日本にとっても重要なことです。

どうしてこのような対立が起きるのか,今後の流れはどうなっていくのかを考えていくのに本書はまさに最適だと感じました。

 

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