警察の三交替勤務~その実情やいいところ悪いところ

警察の仕事の種類や内容

交番なんかで勤務している警察官の多くは三交替という形態で勤務しています。
意外とみんなこの三交替勤務がどういうものかを知らないのでこれから説明します。
主に交番なんかがこの勤務体系なので交番勤務を主な例として話します。

警察の三交替とは

警察の三交替は,看護師さんの三交替や一般企業のシフト制とは全く違うんですね。
看護師さんのそれは日勤,準夜勤,深夜勤のシフト制ですし,一般企業のそれも似たようなものだと思うのですが,警察官の三交替はそれらとはまったく異なっていて

  • 当番日 朝8時半から翌朝8時半
  • 非番日 8時半から24時間休み
  • 公休日 休み

という3日で1サイクルというものを365日繰り返します。
つまり3日に1日だけ勤務すればいいわけです。
年間121日+若干余り。

パッと見たら超幸せな勤務体系ですよね。
だって1日働いたらあと2日休みなんですよ,すごいじゃないですか。

・・・でもやはり現実はそれほど甘くはありません。

三交替の裏側(デメリット)

交替がなかなか来ない

まず非番日の交替時間であるはずの8時半を過ぎてもなぜか交替がなかなか来ません。

交番というのは署から離れて存在しています。
交番勤務員は基本的に,一度署に出勤してそこから交番に行くのですが(遠隔地の幹部・拠点交番など例外あり),交番へ行く前になぜか訳の分からない行事がいっぱいあるのです。
幹部警察官からの指示,朝礼,点検,訓示,教養・・・
自慰行為もしくは何かあったときの言い訳のためとしか思えないくだらない行事がたくさん待ち構えています。

それらをこなして交番へ行くので,8時半に交替することはかなり難しいです。
署から歩いて行けるくらいの近い交番くらいではないでしょうか。

私が経験したもっともひどいパターンでは,当番員が受けていた訓示が長引き,午後1時に交替がきたことがあります。
本来の交替時間は8時半です。ちょっと遅れてしまったとかいうレベルを超えており本当にひどかった。

署長を初めとする幹部にポンコツが多いとこのような悲劇が生まれます。
当然8時半から13時までの間に本来次の当番員が受けるはずの事案をいくつか抱えることになりますし,抱えた以上は自分たちでそれらを処理しないといけません。
この時,とりあえず処理を終えて署から出たのは,日も暮れた19時ころでした。
今でも思い出すとムカムカしてくるようなひどい思い出です。

その日悠然と訓示をしていた署長については,すでに退職されていますが今でもはっきり名前を覚えていますし,できることなら今すぐにでも死んでほしいと心からお祈りしているくらい恨みは深いです。

非番日もなかなか帰れない

このような場合ではなく通常の場合でも,非番日にはなかなか帰れません。

交番で引き継ぎして署に帰ったら,専務(署内の各課)へ書類などの引き継ぎなんかをしないといけません。

あと当番日が忙しいと当番日中に作成しないといけない書類が終わってないので,非番日に居残りですませないといけないこともあります。

交番の規模や忙しさにもよりますがだいたい昼前くらいに帰っていました。
引き継ぐ内容によっては夕方や夜までかかることもありました。

つまり概ね1.5日は働かないといけません。

呼出し

署規模にもよるのですが,非番日は完全な休みではなく召集対象でもありました。
公休日の人(公休員)は日中は呼出し対象になり得ますが,夕方以降は翌日が当番日なので呼出しは基本的にありません。

ただ幹部がアレだと,当番前の夜に公休員を呼び出したりしていました。
当然そういうことをされると睡眠不足で当番日に臨むことになり,当番日に真面目に仕事をしようという気はさらさらなくなります。
いかに呼出しでくらったダメージを回復する(=サボる)かに主眼が置かれて非効率甚だしかったです。
あの時の署長も何考えてんのか分からなかったですね。

当番日もなかなか寝られない

当番日には一応まとまった休憩時間が5時間,1時間ずつの細切れ休憩が3時間くらい(だったと思う)あります。
5時間寝れたらいいのでは?って思うあなた!甘い!そんなわけないんですねー。

着替えたりしていると早くも1時間マイナス

私がいたところだと,基本は21時から2時(早寝・後夜などと呼んでました)と2時から7時(遅寝・前夜)に仮眠時間があって,それぞれ分かれて休憩します。
が,実際は交替時間である21時とか2時きっかりには寝られません。
時間ピッタリから休憩に入ろうとしても,そこから帯革(けん銃や手錠などが付いているベルトの上に付ける装備一式のベルトです)を外したり,顔洗ったり歯を磨いたりしていると,少なくとも30分はロスします。

起きる際も同様で,2時とか7時きっかりに起きて布団を片付けて余裕綽々で2時20分とかに執務室に出てきたらアレな人認定されてしまうので,実際は30分くらい前に起きます。
なのでいくら当番日MAXヒマでも寝られる時間は4時間です。

魔の時間帯

それに加えて交替間際ギリギリの20時50分とか1時50分とかに,人手が必要な事案が入電すると,もちろんしっかり対応しないといけません。
不思議なことに意外とこの時間帯は前後夜合わせて対応しないといけないような大きめの事案がよく入ります。
まさに魔の時間帯であります。

警察の事件処理ってけっこう時間がかかるので(例えば誰かを現行犯逮捕すればその処理に数時間はかかります),交替の1時間以内,20時台とか1時台に誰かを捕まえる事案が入ると徹夜コースになることが多いです。

そういう時間帯に受令機から「○○管内,○○被疑者の確保~~」等という指令を聞くと一瞬真っ白になる感じでした。
「ああ,今日も徹夜か・・・」という感じ。

21時に寝られますか?

またもう一つ落とし穴があります。
夜9時に寝ろって言われてすぐ寝れます?
今どき小学生でもそんな時間に寝ませんよね。

実際私は後夜勤務の時はあんまり寝られませんでした。
寝られん寝られん早く寝ないと後がしんどい等と寝返りを打っているうちに少しだけウトウトして,ハッと気付いたら1時半でもう起床ってパターン。
全然寝た気になりません。

逆に前夜勤務の時は,当番開始からぶっ通しで17時間前後働いていて心底疲れていますから,バタンキューで寝られていました。

意味のない休憩

まとまった休憩時間でもこの有様なので,残りの細切れな休憩などあってないようなものです。

休憩時間なので仮眠部屋に入ってのんびりしまーす,というのは当番体制がギリギリであることなどから事実上できません。

そういうことをしている猛者もいましたが,アレな人認定されてしまう可能性大でしょう。
私も一度はしてみたかったですが,そこまでの勇気がないのでできませんでした。

ですからせいぜい食事やタバコで表から見えない裏に隠れるくらいでしょうか。
ですから細切れ休憩時間が何時間あったかすら覚えてないんですよ。
そもそも休憩時間としてとらえてなかったです。

メリハリがない

そんなこんなで当番日を過ごすと,非番日は睡眠不足でかなりグロッキーです。
非番日でも家に帰ってすぐに遊ぶ元気な人もいましたが,私には帰って何かしようとかいう余力はありませんでした。
家に帰ったら,とりあえず朝飯兼昼飯食って寝て,夕方起きて,飯食ってまた寝て。

そこから起きたら公休日の朝です。
しかし当番非番に不規則なサイクルで睡眠を取っているので,体は爽快・・・ではなく奥底に澱が溜まったかのようなだるさがあります。
若いころはそうでもないのですが,30代・・・30代半ば・・・と年を経るごとにだんだんと疲れが抜けにくくなるのが実感できます。
拝命間もないころ,諸先輩方がそういうことをぼやいていて「年寄りはやだなー」とか思っていましたが,自ら体感してよく分かりました。諸先輩方ごめんなさい。

でも休みの日はこの日しかないので頑張って何かしらやります。
みなさんもそうだと思うのですが,皮肉なことに休日というのはすさまじい速さで私たちの前から過ぎ去っていきます。
そうして休日はあっという間に終わります。

公休日の晩飯くらいから憂鬱になります。
明日はまた徹夜するのかな・・・などと。

これを基本的に365日ずっと繰り返します。
盆暮れ正月とか祝日とか曜日が関係なくなり同じサイクルをひたすら繰り返すので,生活にメリハリがなくなります。

四季折々を味わえる醍醐味

メリハリがないという話とは矛盾しますが,四季をダイレクトに実感できます。
どれだけ暑くてもどれだけ寒くても,雪が積もろうが台風が来ようが常にいつでもいないといけないですから。

夏は汗をしたたらせ,耐刃防護衣に塩を吹かせて真っ白になりながら現場を巡ります。
冬は冬で,官品にしては高性能だと思われる外套に身を包みつつも,それがどうしたと言わんばかりの寒さに凍えながら,かじかむ手に息を吹き当てつつ書類を書くという。

言葉で書いてもしんどそうですし,実際やってみるとこれらの影響をダイレクトに堪能できてホントしんどいです。

でも一方で春と秋の気候のよい季節にバイクなんかで警らしてると,なかなか気分がよいのも事実です。

身分が低い~日勤との比較

三交替って日勤から差別されがちなんですよね。
三交替は楽しているって思われています。

私は両方ともやったことがありますからどっちの気持ちもわかるんですが,実際のところどっちがどうとかいうのはないと思います。
結局のところ,日勤だろうが三交替だろうが楽している人は楽をしていますし,きちんとした仕事をすればどちらでもしんどいです。

日勤はみなさんが想像するとおりの日勤。
ただし警察のそれは当直が入ってくるとことと翌日帰れないのがしんどいです。
あと夜間休日に呼出しもあります。
三交替も呼出しはありますが,日勤よりは少ないです。

でも日勤はそれなりに人数がそろっていることと,責任がある程度分散されるため精神的には楽です。

三交替は3日で1つのローテーションが組まれますから,通常より3倍の人間を確保しないといけないので,1つの係あたりの人数にするとギリギリなところばかりです。
しかも当番中の出来事の多くは当番員で責任を取らないといけないところがしんどいです。

特に大規模イベントなどで人が抜けると大変なことになります。

いいところ

休みが計画的に取れる

1当番休むとその前後は,当番,非番,公休,年休,非番,公休,当番,になるので,5連休になりこの時ばかりはウハウハです。
2当番休んだら8連休ですよ!すごい!取ったことないけど。

また異動がない限り自分の勤務サイクルは永遠に変わらないので,休みとかの計画も立てやすいです。

また平日が休みになることが多いので,外出しても人が少ないのでいいですよね。
ただこれも家族次第で,家族が専業主婦とか幼稚園児だと平日が休みの方がいいと思うんですが,子供が小学生以上とかになると土日が休みの方が都合がいいのでしょうし。

ある意味ギャンブル,当たればタダ

誰かが言っていてなるほどそのとおりだなと思ったんですが,三交替はある意味ギャンブルなんですよね。
事案が何もなければ何もしなくていいんです。タダです。ただそこにいるだけ。

でも事案があれば徹夜しようゲボが出るくらいしんどい目に遭おうが対応しないといけない。

私は三交替のこういうところが嫌いでした。
大変な事案を引いてしんどい目に遭うのももちろん嫌でしたし,それ以前に事案を待つ間の精神的なドキドキが大嫌いだったんです。
待機って見た目は暇そうでいいように思われるかもしれないですし,私も実際にやるまではそう思っていたんですが,そのストレスは意外とでかいです。

例外

今まで書いたのは署における三交替の実情です。
本部執行隊(自動車警ら隊,機動捜査隊等なんとか隊っていう奴です)の三交替は今まで書いたデメリットはあまりあてはまりません。
本部執行隊は署と違って基本的に責任がないので未決事案というのがなく,時間きっかりに交替できることがほとんどです。
ですから三交替のメリットをモロに享受できます。

まとめ

そのように私はあんまり好きじゃなかった三交替ですが,運良く暇な交番へ行ったり,自らや機捜などの本部執行隊へ行けば確かに天国です。

また当番日が徹夜でも,非番日も元気に遊ぶことのできる人にもいい制度でしょう。

ですから一生三交替がいいっていう人もたくさんいます。
しかもそういう人に限って天国クラスの交番ばっかり行く。
私もそういうところに行ってみたかったですが縁がなく,久々に交番に出たと思ったら忙しいところにばかり配属されてしんどいばかりでした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました