取調べについて書きます。
私も刑事をやっていたので取調べはしていましたが,それほど経歴も長くなく中途半端です。
取調べは本当に奥の深い世界です。
よくある安っぽいテレビドラマのように「お前やったんだろ!」と怒鳴ったり恫喝して自供するやつはいません。
そういうのは手法としては下の下どころか,内容次第では昨今では違法な取調べになってしまうおそれもあります。
技術も大事だけど人間力のように思う
なのでさまざまな技術を駆使して被疑者を自供させようとするのですがその技術も千差万別です。
でも被疑者も刑務所に行くか行かないかの瀬戸際だったりしますから必死で嘘ついて否認します。
取調べがすごいと言われる人は皆自分に合った落とし方を体得しています。
私は一度県警で最もすごいといわれていた取調官の立会についたことがあるのですが,なんというか表面的にはたいしたことなかったです。
序盤戦だったせいもあり,雑談してるだけで。
でもなんていうんでしょう,表現が難しいのですが,自分が被疑者だったらついつい余計なことまでしゃべってしまうだろうなあという不思議な包容力というか魅力を持っているのです。
自分の外堀をどんどん埋められていっている感じというか,むしろ自分で積極的に埋めてしまうような感じです。
それを見て取調べとはテクニックとかコツが云々とかいうより,人間力を磨かないとどうしようもないなと思いました。
実際優れた取調官は人間も出来ている人が多いように感じます。
逆に人間的にクズっぽい捜査員は取調べがイマイチだとも感じます。
確かに自分が被疑者だとして,人間的にダメな人になかなか心を開けないですよね。
いろいろ問題もあるけどやっぱり重要
最近は自供についての信用性,任意性について疑問を持たれるケースが少なくありません。
録音録画もどんどん進んでいますし。
そのため,警察でも自供に対するウエイトが減りつつあるのは確かです。
しかし罪種によっては構成要件(犯罪が成立するための条件)に内心面が含まれているものがあり,そういうものでは自供がないと立証が難しくなります。
また当たり前ですがそうじゃない罪種についても自供があれば立証が断然楽です。
そういうこともあり,やはり切っても切り離せないものであるのも確かです。
まめちしき
カツ丼
出ません。
取調べ側が食事を提供したら便宜供与(利益誘導)になってしまってアウトです。
逮捕した被疑者は昼食や夕食時にはいったん留置場に戻します。
任意の被疑者の場合,昼になったら昼休みにして昼ご飯食ってきてもらいます。
ちなみに自分が警察になったころは,コーヒーを飲んだり,タバコを吸ったりくらいはOKでした。
これがあるから取調べが好きっていう被疑者もけっこういました。
留置場の中にいたらほとんどタバコを吸えないのですが,取調べ中はいくらでも吸えますからヘビースモーカーな人は特に取調べの有無が大事で,タバコと雑談のためだけに出すことも良くありました。
私もそれで一時期タバコの量が激増しました。
相手が吸ってたらそりゃあこっちも吸いますよね。
しかしこういうことも便宜供与ととられかねないことと,取調室が禁煙になったことでそういうこともなくなってしまいました。世知辛いですね。
デスクライトで相手を照らして自供を迫る
そもそもデスクライトがありません。
なので相手の顔を照らしたりとかも出来ません。
部屋の中には机と椅子しかなくて,他のものは何もありません。
取調べの時に,メモやパソコンを持って入るくらい。
被疑者が暴れたときにケガをしないためです。
立会人
大事な事件や,実習生が来ているときなどには立会が入ることもありますが,基本的にはあまりいません。
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