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緊急走行について~実際やって感じること,やりがちなことなど

警察の装備

今回は緊急走行について書いてみます。

とはいっても私は親パト乗り(クラウンなどのでかいパトカー)にはなったことがないので,交通パト(見た目ほとんど変わりませんが地域の親パトとは若干違う)とミニパト,捜査用車でしか緊走の経験はありません。
なので緊走のエキスパートではありません。

緊走のエキスパートと言えば,やはり親パト乗りでしょう。
特に自動車警ら隊の人たちは,緊走についてはしょっちゅうやっていますから運転が上手いです。実務能力には「?」がつく人もけっこういますが。

私が警察を辞めて心残りなのは,パト乗りになれなかったことと検視係にいけなかったことです。
自ら隊は嫌いでしたが,署のパトカー係にはなってみたかったですね。
警察官になった動機が「刑事になるかかパトカーに乗りたい」だったくらいでしたから・・・

実際緊急走行をして感じること

話がズレてしまいましたが緊急走行について。

私は好きでした。
警察とか消防とか限られた職種でしかできないことで爽快です。マリオカートのスター状態です。ただしマリカーと違って他の車に当たっても飛んでいかないばかりか,壊れたりケガしたりクッソ怒られて(+新聞にも載る)とんでもないことになるため,運転にはもちろんかなり気を遣っていました。
あとから思い出してヒヤヒヤすることもしょっちゅう。

また,緊急走行で現場に行くということは現場で面倒な事案が手ぐすね引いて待っているということですから,頭の中は現場のことや他の車にぶつからないことでいっぱいでほかのことを考える余裕はほとんどありませんでした。

のんびり(?)余裕を持って緊急走行できるのは自分に責任のない他署の事案へ応援で行くときくらいでしたね。
他署なので走る距離も長いし,こういうときの緊走は楽しかった。

緊急走行をしていて怖いこと

サイレン音とか赤灯って自分たちが思うほど周りにアピールできてないです。

特に捜査用車は赤灯が小さいし,スピーカーが隠して取り付けてあるため音が全然周りに通りません。
捜査用車の緊急走行に出くわしたことがある人は分かるかと思いますが,かなり近くまで近づかないとサイレンが聞こえないですよね。

実際捜査用車を緊急走行で走らせていると,真後ろにつけても全然よけてくれない車がけっこういました。
特にミニバンタイプの捜査用車などセダンじゃないもので緊急走行しているとよけてくれる率がかなり悪かったです。
「えっ!こんな車が覆面パトカー?」みたいな顔をされます。
よけない車に対しては仕方がないので光速パッシングとクラクションを併用していました。

人も意外とよけてくれません。
交差点の横断歩道を今越えようとしている時ですら,前を遮ろうとしてくるのがいます。
どんだけ周りを見てないんでしょう。

でもなぜかマイクで「止まってください」というと止まることが多いです。
なぜマイクには気付いて,その前のサイレンには気付かないのでしょうか。
そういった意味ではマイク広報は人に対しては有効なんだなあと思いました。
車に対してはほとんど意味がないけど。

緊急走行でやりがちなこと

赤灯の出し方

捜査用車でいざ緊急走行をするとき,窓から赤灯を出して屋根に乗せているのを想像すると思うのですが,これをやると現場に着いていざ下りるときに「それ行くぞ!あれ?」となります。
コードが引っかかってドアが開かないのです。
捜査用車で緊急走行をしたことのある人は,みんな一度はやってしまうことなのではないかと思います。

ですから赤灯出すときはドア開けて出さないとダメです。
それはそれであんまり型はよくないですが。
それか現場に着いたら,ドアを開ける前に窓からすぐ赤灯を引っ込めるか。

そういうのが面倒なので赤灯を屋根に出さずにダッシュボードで光らせる人も中にいます。
私も急いでいるときにやったことがありますが,光が車内で乱反射して趣味の悪いクラブのようになります。
夜にやると死ぬほど危ない。

マイクで広報

緊急走行って危ないので部内ではたびたび「緊急走行時の事故防止」というのを言われます。
「マイクで広報」っていうのも耳にたこができるくらい聞かされるんですが,私はこれは時と場合によってはやらない方がいいと感じています。

というのもみなさん運転中に緊急走行中のパトカーと出くわして,マイクでしゃべってる内容聞き取れますか?
なんかおっさんがダミ声でなにか言ってるっぽいけど,なに言ってんだか分からないですよね。
先ほども書きましたが,歩行中なら効果はあると思うのですが,車に対してはあまり効果がないように思います。

それどころかマイク使うとサイレンの音量が若干下がってしまうんですよね。
相乗的に無駄なのではないかと。

そのため私は歩行者に対してだけマイク使ってました。
やっぱり車に対しては光速パッシングしかないです。

緊急走行中の変わったこと,面白かったこと

その1

ある日捜査用車で緊急走行をしていると,途中から急に,いつもにまして車がよけなくなったんですね。
通行人もなんか変な顔してこっちを見ています。
指差してるやつもいるし。

おかしいなあと思いながら現場に着いてみると唖然としました。
赤灯のカバー(赤い部分,透明樹脂製です)だけどっかにふっとんでっちゃっていました。
なので中の白い電球だけが光ってグルグル回っているなんとも情けない姿に。
そりゃあ誰もよけるわけがない。

現場が片付いた後で,飛んでいったカバーを探しましたが結局見つかりませんでした。

その2

その1と同じく,緊急走行をしているのに車がなかなかよけないんですね。

で,途中有料道路の料金所(緊急走行中はフリーパスです)を通過した際に料金所の人から「何これ??これ通していいの??」みたいな顔をされました。
こちらは急いでいるので当然そのまま通過はしたのですが,現場に着いてみるとなぜか赤灯が点灯していませんでした。

サイレンだけ鳴っている変なワンボックス(その時は鑑識車でした)が猛スピードで走っているのだからそりゃあびっくりされるでしょう。

その3

捜査用車の赤灯は,屋根が傷つかないようにゴムマグネットになっています。
そのままにしているとグニャグニャに変形するので普段は鉄板に引っつけています。
で,やりがちなのが鉄板を外さずに赤灯を載せる。
一応はひっつくみたいです。
でも走っていると当然そのうち落ちます。

これで赤灯が粉々に壊れたケースを何回か見ました。
赤灯だけならいいのですが,高確率で車体も傷だらけに・・・

その4

これは先輩がやってたのを私が見た例です。

交差点に進入してくるパトカー,助手席の先輩マイクで「パトカー右に曲がります,右に曲がります」,しかしパトカーは左折,マイク「あ,左でした」。

まとめ

・・・普段と比べると心に余裕がないためか,いろいろと面白いことが起こります。
その時は必死ですが,あとから思い返すと笑えるような話がけっこうありますね。

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